『ファイナル・ドラゴン』

 48歳ともなれば、人生も折返し地点を過ぎ、時に、こまぎれの時間さえ貴重に思えるものです。2時間もかけて映画を見るのであれば、ぜひ心動かされ、「これは見てよかった!」と思える映画を、と頭では思うのですが、つい、「時間を返してくれ!」と思うに違いない映画にも興味がわいてしまいます。
 私の世代の大スター、ジャッキー・チェンが出演している映画は約80本ほどあるらしいのですが、それだけ出ていれば、中には愛すべき駄作もあるものです。出演しているジャッキー・チェン自身が「永遠に公開されなければよかったのに」と発言し、かつ、私が信頼する映画サイトでもなかなかの点数の低さを誇る、『ファイナル・ドラゴン』というカンフー映画を見ました。ジャッキーはまだ有名になる前で、主役であるジミー・ウォングの敵役を務めています。
 『ファイナル・ドラゴン』というタイトルからして、すでにB級映画の匂いがします。期待を裏切らず、のっけから、ジャッキー・チェンは、「毒入りの人参スープを妻に飲まされて床にふせっている」という、のみこみづらい設定での登場です。主役であるジミー・ウォングは、よれよれの麦わら帽子をエイ!と投げつけただけで、4人の敵の強者がばたばたと倒れるという異常な強さ。はたして登場人物は入り乱れ、「火を吹く」「磁力がある」など、特殊能力を持った『四天王』も現れます。もうストーリーがわかりません。
 そして、四天王といった強い相手との戦いの場面といえば、通常は「荒野で」などがお決まりですが、なぜか決戦の場所は「食堂で」。人並はずれた特殊能力を誇りながら庶民的。さらに極めつけは最後の戦いです。床にふせっていたものの、作る側の都合で超元気になって再登場のジャッキー・チェン。対して、主人公ジミー・ウォングが放つ『絶命流星』という、「相手を殺してしまうから」という理由で封印していた必殺技があるのですが、それがなんと、「夜空の流れ星を相手に当てて、爆発させてやっつける」という、突飛推しもない荒技なのです。流れ星を?相手に当てる?どういうこと?と理解する前に、ゴレンジャーもびっくりの派手な爆発が。映画の登場人物たちは、技を繰り出すときに、それらしく「ハ!」とか「ヤア!」とか言ってますが、もはや、カンフー映画でもなんでもありません。あまりのつっこみどころの多さに、一回では受け止めきれず、最初からもう一回鑑賞してしまいました。本当に時間を返してほしいです。

>>ブログ一覧はこちら