朝の東京駅にて

 夏休みなので、息子とふたりでどこかに電車で出かけたいと思い、地元の方々には大人気にもかかわらず、いっこうに県外への普及の気配を見せない「伊那ローメン」を長野県へ食べに行こうと企画しました。伊那ローメンとは、やきそばに似た食べ物ですが、羊肉が入っていて、薄味しかついていないので、カレー粉やマヨネーズなど用意された複数の調味料を使って自分で味をつけて食すという、ひとクセある一品なのです。その「伊那ローメン企画」はまったく息子の心には響かなかったのですが、「朝早いから、東京駅で駅弁を買って、朝ごはんは特急電車の中で食べるのはどう?」と提案すると、その話なら乗ってもいいということになり、いざ当日。息子にとっては駅弁がメインのこの電車旅、東京駅の駅弁屋さんには、全国津々浦々の、ありとあらゆる魅力的な駅弁があると豪語して息子を連れてきた手前、駅弁屋さんがしょぼかったらつらいなと思っていたのですが、その心配もなんのその、東京駅に着いて駅弁屋さんに向かうと、すでに朝7時とは思えない旅行客とビジネスマンが入り混じる混雑と、所狭しと並ぶ駅弁の数々。カニもあればウニもある、押し寿司もあれば釜飯もある、目移りするような素敵なお弁当の数々に、私のテンションもMAXです。ほうらやっぱり来て良かっただろう、今日ばかりは一番高いお弁当を選んだっていいんだぞ息子よ、というところまで高まった気持ちで、「この厚切りのお肉の弁当とか、牛タン弁当とかどうよ!」と言ったら、色合いのそっくりなシャツを着た、同じくらいの背丈の、よそのお子さんでした。店員でもない知らないおじさんに嬉しそうにお肉のお弁当を勧められてさぞ困ったことでしょう。当の息子は父親と離れたところで淡々と、しっかり自分のお弁当を選んでいました。

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