陽のあたる坂道

 「陽のあたる坂道」(昭和33年・日活)を観ました。監督は田坂具隆さん。3時間30分の長編だったので、何回かにわけて空いている時間に観たのですが、まったく長く感じず、通して観ても全然苦にならなかったろうと思います。主演の石原裕次郎さんは、あまりにも有名すぎて、今さら何かの作品で知るよりも、若さあふれる青年か、もしくは渋い顔でブラインドから外を覗いている刑事、みたいなところでイメージが定着している方が多いかもしれませんが、この作品はまさに一俳優として本領発揮、多面的な魅力が満載です。
 まず、父親、子ども3人、育ての母、産みの母、産みの母の子ども、というそれぞれの人物がそれぞれ魅力的に描かれている脚本に感心してしまいます。ことによってはどこまでもドロドロと、暗く重くなっていってもおかしくないような話を、これだけ辛気くさくなく、後味よく仕上げられるということに驚きです。また、登場人物が自分の気持ちを説明するのが本当にうまくて、その芯をついた語りが人物をいきいきさせています。こんな風にみんなが自分の気持ちをちゃんと説明できたら、それだけでいろんなことが解決するのではないかとおもってしまう光景でした。演じた俳優さんたちも本当に見事ですが、その脚本・監督の頭脳のキレと心持の良さに舌を巻かずにはいられません。何か勝負をしていたわけではありませんが完敗です。
 今は、「6羽のかもめ」(私の大好きな加東大介さんの遺作でもあります)という昭和49年のTVドラマを観はじめているのですが、今どきのCGなどのお仕事をされている人が見たら価値観が崩壊してしまうのではないかというアバウトな合成も見ものです。淡島千景さん、中条静夫さんなど大好きな俳優さんばかり出てきて楽しんでいます。

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