ゲームの原生林

 中学生の私が、貴重な青春という持ち時間の7割は捧げたであろうファミリーコンピュータが、ミニサイズになって復活しました。その名も『ニンデンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』。税抜き5,980円、しかも当時は1本5,000円ほどしたゲームソフトが30本分入っています。スーパーマリオブラザーズにパックマン、ゼルダの伝説にギャラガ、イー・アル・カンフーと、昔の子供たちが見たら、もはや価値観が崩壊してしまうような夢の代物です。あの頃のゲームがあの頃のまま入っているこのゲーム機を見過ごせない、という衝動で購入しました。
 息子に昔のゲームを見せられる、という部分で欲しかったところもあるので、さっそく息子と並んでリモコンを握ってみますと、限られた容量でしかゲームを作れなかった時代ならではの、人を引き込むシンプルなアイデアと卓越したセンスにうなるゲームの一方、突っ込みどころの多いゲームの数々に衝撃を受けます。
 まず『ダウンタウン熱血行進曲』は、主人公のくにおくんが優勝を目指して大運動会に臨むのですが、これははたして運動会と呼べるのか、屋根にのぼったかと思うと、食事中のお宅の食卓を走って通り、あげくのはてに最後は殴り合う、という世界観に笑ってしまいます。
 『アトランチスの謎』にいたっては、どんな謎を解こうとしているのかもさっぱりわかりません。「上空の鳥が落とす、大きなフンにあたったら死ぬ」という、アイデア段階では「それいいね!」となったのかもしれませんが、文字化するともうちょっと他に考えられなかったのかと残念に思う設定で、しかもこれが結構落ちてきます。ゲームが始まってすぐフンを避けることに必死にならなければならないゲームというのもいかがなものでしょう。また、スーパーマリオブラザーズの「ワープ」を意識したのかもしれませんが、1面からなんといきなり33面に行けてしまうという、ワープにもほどがある設定で、知らずに一生懸命33面やった人の気持ちはどうするのかと心配になってしまう乱暴な構成です。
 『つっぱり大相撲』は、シンプルながら、つい「もう一試合」とあとをひく秀作で、大変楽しめるのですが、肝心の力士のしこ名が「脇黒山」「千千黒山」など、当時ならではのノリで、こちらが恥ずかしくなってしまいます。
 しかし、困ったダメゲームも含め、多彩な切り口のゲームが、今もそのままありつづけてくれていることに、なんでしょう、貴重な手つかずの森林を見て感じるような、神妙な豊かさすら感じて、私は満足です。

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